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Lenovo ThinkAgile HX for SAP HANA アップデート情報

皆さん、こんにちは レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 小宮です。

本日は以前にも話題で取り上げたThinkAgile HX for SAP HANAのアップデート情報を掲載します。構成組むうえで重要な情報を記載致しますので、参考にして頂ければと思います。

1. SAP HANAをNutanix環境で実現するにあたり必要なものとは?

SAP HANAはインメモリデータベースであり、その特徴はメモリ上にデータを保有しているためハードディスク上で動作するRDBMS製品と比較して、10~100,000倍の速度でデータを処理できます。そのデータベースが遅延なく動かすために、AHVのI/O高速化アーキテクチャであるAHV Turbo、25Gb以上の高速なネットワークかつRDMA(Remote Direct Memory Access)対応のNIC、高速なI/Oスループットを実現するNVMe/3D Xpointなどのデバイスが必要となります。

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それに加えて、Nutanixプラットフォームを利用することにより従来型(3Tier)の構成に比べて最大31%のTCO削減が見込まれます。そのため、今後SAP HANAのインフラはNutanixで提案しましょうというお話になります。詳細の内容はこの後お話致します。

 

2. AHV Turboについて

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AHV Turboをお話する前にNutanixのデータローカリティについて覚えておく必要があります。仮想マシンから書き込みがあったデータを別ノードの冗長性を保つためにデータをレプリケーションします。この一連の動作を高速化することがSAP HANANutanixで実現するために必要な要素になります。

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AHV Turboについてご説明致します。AHV TurboとはAHV環境におけるI/Oを高速化する技術になります。主な用途としてはアプリケーションの高速化に効果として望まれます。従来のNutanixCVMは仮想マシンからのI/Oを一つのコアで処理をしていましたため、たくさん仮想マシンが動作している環境ではCVMがボトルネックになってパフォーマンスが出ないケースがありました。

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それをAOS5.5からCVMCPUコアを分割してI/O処理できるようにすることで、並列処理が可能になりパフォーマンスを上げることができるようになりました。(上図でわかりやすく紹介)

しかしながら、本当にAHV Turboを導入したからと言ってI/Oが高速するのでしょうか?実はストレージデバイス側も並列処理に対応している必要があります。

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ストレージデバイスについてご説明致します。現状のハードディスクやSSDについてはSATAデバイス、SASデバイスで接続されています。こちらのデバイスの場合1つのコマンドキューしか対応していないため、いくらAHV Turboに対応してもデバイス側その効果を発揮できるものではありませんでした。そこで必要になるのはNVMeなどの高速ストレージデバイスになります。こちらのNVMe64Kのコマンドキューをサポートしており、AHV Turboのような並列のI/O処理にも対応できるため、高IOPSを実現できる環境が整います。実際にNutanixでリリースされているNVMeモデルでは1仮想マシンあたり120IOPSを実現しているものもあります。

そのため、AHV Turbo + NVMeは高スループット実現する環境になります。

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AHV Turbo環境で高スループット実現するにはNVMeなどのストレージデバイスだけで足らず、データローカリティ部分の高速化をするためにはネットワーク部分についても高速化が必要となります。実際にHCI環境のネットワークは10GbEで十分だという認識でいると思われます。それは従来型の利用方法では十分でしたが、今回のような64Kの並列処理を行うようなI/O環境ではネットワークの負荷も膨大なものになってきます。そのため、10Gbでは足らないケースも起こりますし、逆にデータ転送における遅延にもつながります。そのため、AHV Turbo + NVMeの環境では25GbEが必須になってきます。データローカリティでホスト内の処理を高速に処理できたとしても、データローカリティのシーケンスはデータの冗長化ができて初めてシーケンスが終了します。この理由から25GbE以上のネットワークが必要となります。

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実際にSAP HANAのようなインメモリデータベースの場合、ストレージ部分だけの高速化だけでは処理としてはまだ不十分です。ホスト間のデータ通信を早くするだけでなく、いち早くアプリケーションレイヤまでデータ通信させる必要があります。そこで必要な技術としてRDMARemote Direct Memory Access)になります。RDMAについてはHPCHigh Performance Computing)などのスーパーコンピュータ関連で使われている技術でアプリケーションにデータ転送するためにCPUをオフロードして高速化を実現します。

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こちらのRDMAについては、最新のAOS 5.9から対応しています。(対応NICはMellanox社)

3. ThinkAgile HX Solution for SAP HANAについて

SAP 導入後の運用者の悩み事について

①SAPのクリティカルな問題として、本番環境開発環境での 自己修復、稼働時間、データ保護とリカバリにフォーカスが 置かれています
  • 本番環境の生産性の低下は収益の損失と顧客からの信頼を失います
  • 開発環境がダウンすると開発者の生産性を失うことになります
SAPのお客様はピーク時を想定して定常状態のリソースをオーバーサイジングします③SAPのお客様は新しいSAPランドスケープの導入やサービス カタログの欠如に多くの時間と労力をかけている
④SAPのお客様は実装が簡単でコスト効率の高い開発/テストおよびディザスタリカバリのソリューションを求めています
⑤無秩序にサーバが増えることが問題になっています

これらを解決するためにSAP環境を仮想化していくことが重要になりますが、しかしそこには様々な障害が存在します。

 

SAPのランドスケープはますます複雑化

  • ビジネスとITの要件のバランスを取る必要がある
  • 2025年までにSAP HANAへの移行に伴い、管理コストが高く未使用のシステムが多数変化してきている

ハイパーバイザーがスケールアップ可能

  • より強力なコアとソケットあたりのコア数の増加により、仮想化は実行可能なオプションになります

簡素化された導入と高可用性

  • 仮想化されたクラスタがアプリケーションを意識している

 

これらを解決するにはSAP HANAがNutanixに対応していれば解決するのではないかと考える方もいらっしゃるかと思います。実はそのきっかけになる話があります。

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SAP社から2015年に2025年からは次世代ERPSAP HANAを前提としたプラットフォームにします」という発表がありました。そのため、ERPを導入している各社は現状の環境からSAP HANAの環境への移行を行う必要があります。

また、SAPなどのミッションクリティカルな環境は基本3Tier構成で組むことを前提としているため、ハードウェアのリプレース時のデータ移行やリソース不足による増設などでシステム停止などの運用で大きな負荷がかかっています。そのため、HCIなどの運用および拡張性に柔軟性のありプラットフォームやクラウド対応などもSAPERP環境にも求められていることから、数年前からSAPおよびNutanixの両社でNutanixS/4 HANA対応を行ってきました。

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SAP HANA対応について現状のハイパーコンバージドでの構成ではどうなるのか?ということについてご説明します。

SAPERPなどはHANAのデータベースとそれ以外のアプリケーションで構成されます。HANA以外のアプリケーションについては今までの仮想化環境で十分対応できていました。しかしながら、SAP HANAに関してはSAPの認定するパフォーマンスについてNutanixのプラットフォームとして十分ではなかったからです。そのため、インメモリデータベースで動作するための環境作りがNutanix側で必要になってきており、今までは実現できていませんでした。それが、20188月末になり、NutanixAHV環境(Enterprise Cloud OS)においてようやくHANAの認定が取ることができました。

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実は、NutanixのAHVが最初にSAP HANAの認定を受けたHCIのプラットフォームになります。

ここで、SAP HANAにおけるソリューションのポジショニングを整理しておきます。

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Nutanix対応のSAP HANAのお話する前にLenovoが提供するSAP HANAソリューションは上図になります。TDI(Traditional Datacenter Infrastructure)は通常のカスタムベースの構成になります。一番構成として出しやすいです。アプライアンスについては構成としては決められているモデルになります。こちらのモデルについては、Lenovoは一番出荷量が多いモデルになります。仮想化された環境という意味では、今まではVMwareのみが対応していましたが、残念ながらHCIには未対応の状況でした。それが今回AHVに対応になったのが、今回紹介のモデルになります。(11月にはvSANやSimplivityもSAP HANAになっています)

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ThinkAgile HXのSAP HANA対応についてご説明します。

こちらはThinkAgile HX7820(アプライアンス)/HX7821(認定ノード)のラインナップでSAP HANA対応のスペックになっています。詳細は上図をご参照下さい。

実際に赤字になっているところがポイントです。

CPUについては、メモリ構成上で3CPU以上が必須な構成のため、今回のSAP HANA

モデルはLenovo ThinkSystemの4CPUモデルで採用しています。(3TB構成は実際に利用可能なメモリ容量としては2.3TBになります)

次にNVMeと25GbE NICについては、先にご説明したAHV Turboの必要要件になっています。10GbEでの構成もサポートしていますが、10GbEのネットワーク構成としては最低でも4本以上が必要なります。

RDMAについては、ROC Capable NICsがそれに相当します。これが、AOS5.9の環境で動作することになります。

ちなみに、この構成でSAP HANAを組むことによって、AHVでのストレージオーバーサイジングは4%程度に収まっています。通常の場合は1.6倍程度のオーバーサイジングを考慮することが前提のため、この数字は素晴らしい数値になります。(vSANでの構成時は4%にはなりません)

また、SAPでLenovoを選択するメリットもあります。

LenovoはグローバルでSAPのマーケットで(アプライアンスで)リーダーの地位にいます。また、パフォーマンスのベンチマークとしても世界記録を持っています。最後にAHVについては、LenovoはハードウェアベンダーでAHV対応が一番進んでいる(ネットワークの自動化、XClarity Integrator)ことから、このソリューションにおいては他のベンダーに比べて優位性があります。

また、こちらのSAP HANA対応機種について、実はNutanixのNXシリーズではラインナップがございません。SAP HANAのNutanix対応については、是非Lenovoのプラットフォームをご選択頂けると幸いです。

 

4. ThinkAgile HX782xはSAP HANAのために作られたの?

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先ほど紹介したモデルはSAP HANAにしか対応していないのか?と思う方もいらっしゃるかと思います。実はそうではなく、ブロックチェーンなどのP2Pのネットワークにも利用するできます。ブロックチェーンは一定期間内のトランザクションをつなげ合わせて処理を行っていくものであり、前の人の処理がメモリ上からアクセスできるような環境ができれば、いち早く処理を行えることからインメモリの環境にあるのは非常に最適な環境になるわけです。

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そのブロックチェーンの基盤を支えるのが、こちらのNUMAのテクノロジーになります。こちらの技術を利用することにより、CPU間で接続されているI/O Controllerを通じて異なるCPUのメモリをアクセスすることができます。これを仮想環境でも利用できるようにするために、vNUMAがサポートされている必要がありますが、現時点ではAHVもVMwareもサポートしています。

 

5. SAP HANA for Nutanixサイジングにおけるちょっとしたコツ

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ThinkAgile HX for SAP HANAにおけるプラットフォームの仕様とクラスタのガイダンスはこちらになります。3ノードが必要なのはNutanixの仕様上の話ですが、HX782xは最低でも2台と他のノードをHX782x以外で組むことはできます。しかしその場合はHAの仕様に制限出てきますので、本番環境で利用する場合にはできれば4ノード以上で構成することを推奨します。

また、先の説明でメモリは2.3TBしか利用できないについてもこちらでご説明したいと思います。

 

6. 3TBのメモリ構成が2.3TBしか利用できない理由とNUMAの関係性について

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1台の巨大なVMを実装する場合に3つのCPUを利用することはできますが、一つの物理CPUはCVM用に割り当てる必要があり、すべてのメモリ領域を利用できるわけではありません。今までにそこまで大きなメモリ領域を使用することは少ないと思いますが、SAP HANAのようなインメモリデータベースは、会計上のデータなどの通常ストレージに入れるようなデータをメモリ上に展開する関係上、メモリの大容量化が必須になっているため、このようなリソースが必要となります。ハイパーコンバージド環境でSAP HANAを導入される場合は、ストレージリソースでどのくらい消費するのかも考慮しながら設計する必要があります。これは、Nutanixに限らず他のハイパーバイザーにも同様のことが言えます。

 

是非今回の内容を参考にして頂ければと思います。

 

よろしくお願い致します。